「で、結局あんだけぶーぶー言ってたくせに、甘酒選ぶのかよ」
「だって、甘酒の方が美味しいもーん。それに暖かいじゃない」
「いやいや、確かにお神酒は冷酒だけれども、飲むと腹ん中から暖かくなるじゃねーか」
「全部暖かいほうがいいに決まってます」
「それに甘酒にするめは合わないだろ」
「昆布にしたからだいじょうぶ」
「昆布も同じだろうが・・・」

暖かいほうがよいと言うくせに猫舌な青子は、甘酒の入った紙コップをふうふうとふいて冷ましている。
青子が飲み終わるのを待つ間、ぼんやりと焚き火の炎をながめていた。
暗闇の中、灼灼とオレンジ色に燃える炎は力強く美しい。
ぱちぱちと爆ぜた火の粉が空へと舞い上がる様子は、炎が天へと還ってゆくようであった。

気づけば、青子も隣でじっと炎を眺めていた。

「キレイ、だね」
「ああ」

いつまでも見ていたい気分だったけれど、炎にあたっているとはいえ、足元がだんだんと冷えてきた。
時折吹く冷たい風に、体も冷えてき始めている。
やはり、これくらいのアルコールでは、すぐに醒めてしまう。

「さって、と。体が冷え切る前に行くか」
「うん」
「オメーは、これからどうするんだ?」
「どうするって?」
「俺は目ぇさめちまったし、ちょっと飲みたい気分なんだけど」



快斗の家へ行く / 青子の家へ帰る