「青子も、快斗の家で飲もうかな・・・」
「おやおや、甘酒の方が美味いんじゃなかったのか?」
「だって、だってこれでバイバイって、ちょっとさみしいかな、なんて」
だんだんと声が小さくなり、最後の方はちょっと聞き取れないくらいだったけれど、青子の気持ちはうつむいても隠しきれなかった真っ赤な耳たぶが教えてくれたし、俺も、本当はわかってた。
そうじゃなければ、こんな夜中に青子1人で俺のうちに来るなんて、危なすぎて激怒ものだし、青子に付き合って出かけたりなんかしない。
会いたいと、俺との時間を作りたいと思ってくれたことが嬉しかったけれど、俺はまだ青子ほどに素直になれなくて、照れ隠しに唇に乗せたのは、からかいの言葉だった。
「かわいらしいこと言ってくれるねぇ。今夜はやけに素直じゃないですかー?」
「青子はいつもかわいいし、素直です!」
指摘され、ぷいっとそっぽ向いてしまったけれど、怒って帰るつもりはさらさらないようで、その気持ちが嬉しかった。
ここが近所の往来でなければ、ぎゅうと抱きしめてしまっていただろう。
「わかったわかった、帰りにコンビニで、チューハイでも買ってやっから、ご機嫌なおせよ」
「やったね!青子、カルピスのがいいな」
「やっぱお子様でしたね・・・」
「んもー!美味しいからいいじゃない!」
「ハイハイ、膨れない膨れない」
ほれ、と腕を差し出せば、青子は素直に腕を絡ませてきた。
「よーし、快斗の家へ、レッツゴー!」
「へいへい」
ぎゅうぎゅうと押し競饅頭のように体をぶつけ合いながら、ふたり夜の街を俺の家へと向かった。