「うーんと、じゃあ青子の家で飲もっか」
「いいけど、青子ん家、酒あるのかよ」
「お父さんのビールと日本酒と・・・」
「警部のはまずいだろ。しかも青子はビールと日本酒じゃ飲めねーじゃねーか」
「だよねー」
「だよねーじゃねぇよ。仕方ねーなー、そこのコンビニで・・・」
「未成年は買えないんだよ!」
「オメーはムリだろうけど、俺は大丈夫だよ」
「どーだか」
「まあ、見てろって、ほれ行くぞ」

手を差し出せば、ぎゅうと腕を組まれた。
もこもこと着込んだ布越しなのに、ただ身を寄せ合うだけで暖かく感じるのはナゼなのだろうか。
青子を抱きしめたら、どれだけ暖かいのだろう。
そんなことを考えながら、ふたりバカ話をしながらコンビニ経由で青子の家へと向かった。

 

 

結局、コンビニでは問題なく買い物ができたので、青子はなにやら不満そうだった。
どうして青子はダメで、快斗は大丈夫なの、快斗と青子は兄妹!?兄妹なの!?とぶーたれる青子をなだめつつ、青子の家の近くまで来たところで、見慣れた背中を見つけた。


「あ、お父さん!」
「警部!」
「おお、青子に快斗君。こんな時間に・・・」
「あのね、いつもの神社に初詣に行ってたんだよ」
「この寒い中、悪かったね快斗君」
「全くです」
「ちょっと!どうしてそこで青子が悪者なのよ」
「実際、無理やり誘いに来て連れ出しただろうが」
「それは、そうだけど・・・」
「警部は今あがりですか」
「ああ、もともと2課は応援だからね」

警部がいるなら、今夜の飲み会は中止にするしかない。
残念な気持ちが半分、嬉しそうな青子の顔で仕方ないなと思う気持ち半分、ビールに少しの未練があったけれど、それはまた帰りに買えばいいだろう。
手にしていたビニール袋を青子に手渡し、別れを告げる。

「じゃあ、俺はこれで」
「おや、もう帰るのかね」
「そうだよ、快斗、これ・・・」
「警部がいたらまずいだろ、未成年」
「あ、そっか・・・」
「聞こえとるよ」

小さく囁いたにもかかわらず、警部には聞こえていたようで、じろりと睨まれる。
やばいなぁと、ひきつった笑顔を張り付け、それではとその場を立ち去ろうとしたら、ぐいと警部に手を引かれた。
驚いて顔を見れば、にやりと笑う警部の顔。

「まあ、今夜くらいはいいだろう。せっかくだ、あがっていきなさい」
「でも・・・」
「いいじゃない!いっしょに飲もう!」
「たまには、こういうのも悪くないだろう。あくまで、たまには、だがな」

そうだな、たまにはこんな年越しも悪くない。
警部に手を引かれ、青子に背を押され、俺は中森家の玄関をくぐった。

 


恋の(私が)耐久レース!警部エンドです。

いちおうはハッピーエンド、かな?
よかったら他のルートも探してみてください。

お付き合いくださり、ありがとうございました。