「さっむーい」
「こっち来て正解だな。とっととお参りして、とっとと帰ろうぜ」
「そんな気持ちでお参りしたら、ご利益ないわよ」
「そもそもこの神社にそんな霊験あんのかよ・・・」

せっかくだから大きい神社へ行こうかと話がまとまったのだけれど、さてと家を出たところで、あまりの寒さに全員一致(と言ってもふたり)で近所の神社へ行くことに決定変更したのだ。
少し歩いたくらいでは、体が温まることはなかったけれど、神社に着くと、境内では焚き火をしていて、焚き火の隣の小さなテントではお神酒とお下がりを振舞っていた。
アルコールが入れば、少しは体も温まると言うものだ。

「お、神酒」
「ダメだよ、お参りしてからじゃないと!」

境内は狭いので、拝殿はテントからすぐだ。

基本的に神頼みと言うのは好みじゃないので、ばらばらと賽銭箱に小銭を投げ入れ、適当に拍手を打つ。
ちらりと隣の青子を見ると、何やらぶつぶつと真剣にお願い事をしているようだった。
そんな青子は置き去りにして、さっさと焚き火のそばに移動し、お神酒をいただいていると、ようやく青子もお参りを終えて、こちらに来た。

「ほれ、寒いだろ。あたれあたれ」
「ありがと。ところで、えらく早かったけど、快斗は何お願いしたの?」
「そういう青子は、何お願いしたんだよ」
「そんなのナイショでーす」
「だったら俺もナイショってことで」
「えー、ずるい!けちんぼ!教えてくれたっていいのに」

わいわいと騒いでいると、テントの中から声がかかった。

「お嬢さんも、一杯如何ですか?」
「うわぁ、ありがとうございます」
「青子はお子様なんだから、こっちの甘酒にしとけ」
「えー!青子だって飲めるもん!」
「いやいや、未成年は飲んだらダメだろ」
「なによー!快斗だって飲んでるじゃない」
「俺はいいんだよ。大人だからな」
「どっこがぁ〜?」
「す べ て が」
「うわっ、感じ悪ーい」
「いやいや、俺は真実しか言ってないから」
「すみませーん、青子にもくださーい」
「無視するなよ!」


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