「ったく、無理して飲んで酔うなよ」
「ムリでもないし、だいいち、これくらいじゃ酔いませーん」
「どーだかなー」

結局、青子もお神酒を受け取り、ちびちびと舐めるようにして飲んでいる。
よかったら、ごいっしょにどうぞ、と俺ももう一杯もらった。

受け取ったお神酒とするめをいただきながら、ふたりでぼんやりと焚き火の炎をながめる。
暗闇の中、灼灼とオレンジ色に燃える炎は力強く美しい。
ぱちぱちと爆ぜた火の粉が空へと舞い上がる様子は、炎が天へと還ってゆくようであった。
炎に見惚れていると、寒いのか、少し酔ったのか、青子がそっと体を寄せてきた。

「キレイ、だね」
「ああ」

どれくらいそうしていたのだろう、いつまでも見ていたい気分だったけれど、炎にあたっているとはいえ、足元からだんだんと冷えてきた。
時折吹く冷たい風に、体も冷えてき始めている。
やはり、これくらいのアルコールでは、すぐに醒めてしまう。
なんだかまだ飲み足りない気分だった。

「・・・なーんか、飲み足りねーよな」
「うん」
「帰って、飲むか?」
「うん!」
「よし、帰るか!」

ほれ、と腕を差し出せば、青子がぎゅうと両腕でしがみついてきた。
ぎゅうぎゅうと押し競饅頭のように体をぶつけ合いながら、ふたり夜の街を家へと向かった。



快斗の家に帰る / 青子の家へ帰る