「ほらー、快斗ぉ、早く準備準備!」
「重てぇ・・・」

青子は出かける気満々で、ほらほら早くと言いながら、こたつから出ようとしない俺の背中にべったり張り付き、首に腕をまわしてぎゅうぎゅう締め付け、プレッシャーをかけてくる。
しかし、昼間にひっそり一仕事終わらしてきた身としては、今日はもう閉店終了モードだ。
できればこのままこたつと、青子と仲良くしていたい。
背中にかかる重みは心地よく、風呂に入ってきたばかりなのか、髪からはやたらにいいにおいがするのだ。

「オメー、寒いの苦手だろ」
「うん、まあ、そうだけど・・・」
「なら、わざわざ寒くなりに行く必要ねーだろ」
「でも、受験生としても、日本人としても初詣は行っておかなくちゃ!」
「いやまあ、初詣は俺だって行くつもりだけど、今じゃなくても明日でもいいだろ」
「明日、って、今さっき日付変わったから、もう今日だよっ」
「だから、今は寒いつってんだよ。日が昇って暖かくなってから行こうぜ。ほれ、せっかく来たんだ。こたつあたってゆっくりしてけ。みかんも食っていけ、うまいぞみかん。甘いものはみかんしかねーけど、酒ならあるぞ」



お酒を飲む / おしゃべりする