「・・・いい、や。やっぱり、いい。ごめんね、へんなこと聞いちゃって」
「全くだぜ。男の秘密を探ろうだなんて、いやらしいわねー、青子ちゃん」

おちゃらけて誤魔化したものの、気まずい空気は流れたままだった。
そんなに長い時間ではなかったけれど、罪悪感が大きい分、先に沈黙に耐えられなくなったのは、俺のほうだった。

「よーし、酒でも飲んで、年忘れすっか!」
「青子は身も心もキレイなので大丈夫です」
「でも、飲むだろ?」
「うん、まあ、せっかくだし・・・たまには、いいかな」
「よーし、じゃあ飲むぞ飲むぞー」
「んもう、まだ未成年なんだからね!」
「かたいこと言うなよ。家の中は治外法権だぜ。ほれ、青子準備準備」

冷蔵庫からビールとチューハイ、そしてグラスをふたつとって居間に戻る。
まだぶつぶつと言っている青子のグラスにチュー-ハイを、自分のグラスにビールを注ぐ。
何かつまみになるものはないかと探したけれど、柿の種くらいしかみつからなかった。
食材はそこそこあったので、腹がすけば、青子に頼んで何か作ってもらえばいいだろう。

「んじゃま、乾杯!」
「乾杯!」

暖かな部屋でこたつに入って飲む冷えたビールは美味く、グラスの中身は一気になくなってしまった。
ぬるくなる前に、残りも飲むかとグラスにビールを注ごうと見れば、青子のグラスの中身もなくなっていた。
おいおい、甘いけどジュースじゃねぇぞ。

「おーいしーいっ、快斗、おかわり!」
「なんでオメーのが飲む気マンマンなんだよ!」
「いーじゃない、どうせ飲むなら楽しい方がいいじゃない」
「未成年なんじゃねーのかぁ?」
「気持ちは20歳だからいいの!」
「気持ちは20歳、ねぇ」
「はいはい、おかわりお願いしまーす」
「もう酔っ払いかよ!」



青子が酔う / 快斗が酔う