「あー、なんだ、その、バイト、だよ、バイト」
「バイト?なんのバイト?」
「それは言えないというかなんというか・・・」
「ますます怪しいわね」
「怪しくねーって、むしろ頭脳的な不労所得だ」
青子にじろりとにらまれたけれど、ことバイトに関しては嘘は言っていないし、後ろめたいことはない。
予告状を出す仕事は、見た目が派手なぶん、お金がかかる。
予告状作成に下調べ、変装道具にマジックトリックの小道具もろもろ。
盗んだものを換金しているならとにかく、すべて自腹なわけで、そうなると高校生の身で怪盗活動をするには、とにかく資金が足りない。
それをわかっているにもかかわらず、母親は普通に高校生ぶんの小遣いしかくれず、高校生がアルバイトしたくらいでは到底足りない金額を自力で何とかしろ甲斐性なしなどと言ってはばからないときた日には、仕方なくIQ400の頭脳と勝負勘を駆使して株やFXなんかで活動資金を作っているわけで、キッドでなければやらないこれらとあわせてバイトとくくってしまっても、嘘ではない、はずだ。
「まあいいわ。1週間、がっつりばっちりバイトしてたなら、さぞかしいーっぱい、バイト料入ったんでしょうね〜?」
「いや、まあ、それはそうなんだけど」
「じゃあ、奢ってよ!」
「日払いじゃねーからバイト料の支払いはまだ先だ」
「えー、そうなのー?」
「ほらそこ、ぶーぶー言わない」
「黒羽先生!青子はロールケーキかプリンアラモードがいいです!」
「誰が先生だよ。大体、こんな時間に、んなハイカロリーなもん食ったらデブるぞ」
「ちょっとくらい大丈夫でーす」
「ったく仕方ねーなーぁ。んじゃ、コンビニ行くか」
「えー、寒いし快斗行ってきてよ・・・」
「奢れっつったの、オメーだろうが!言いだしっぺのオメーが行け!」
「かわいい女の子ひとり、夜中に危ないじゃない!」
「かわいいねぇ・・・」
「なによ、文句あるの?」