親子



AM8:00、中森家。

今日は終業式だけなので、なんとなくのんびりした気分になり、ゆっくりと片付け物をしていたら、いつもより遅い時間になってしまった。
夜勤のため、もうすぐ帰ってくるであろう銀三の食事を用意し終わる頃には、いつもよりも遅い時間になっていた。

「ただいま」
「あ!お父さん、おかえりなさい。お疲れ様」

さすがに、徹夜に慣れた銀三でも、夜勤明けは少し疲れた表情を浮かべている。
お父さんも、もう年なんだから無理しちゃだめだよ!と何度注意しても、すわ、キッドの事となると、疲れなど感じさせず生き生きとして出かけてゆく。
ここ何日かこうやって家に帰ってくることが多くなったのは、キッドが大人しくしてくれているおかげなんだけども。
ただ、そんな時のお父さんは、ちょっと物足りなさそうで、青子としては、なにやらイロイロ複雑な気分なのだ。

銀三は、スーツの上着をぬぎながら、食卓へとつく。
机の上の新聞を広げながら、思い出したように青子に話しかけた。

「そうだ、青子。久々に連休が取れそうなんだ」
「ほんと!?」
「たまには2人でゆっくりでかけるか?」
「うんっ、行く行く!ねぇねぇ、いつなの?」
「キッド次第だからぎりぎりまで黙っていたが、23日の祝日と24日なんだ。」
「あ、えっと。イブは約束が・・・」
「なんだ、今年もパーティか?」

青子がどうしようか返答に困ったそのとき。
玄関の方から、なかなか待ち合わせ場所に現れない幼馴染を呼ぶ声がした。

「あーおーこ−!置いて行くぞー!!」
「あ、あ、お父さん、私もう行かなきゃ!」
「おお、行っておいで。気をつけてな」

青子はエプロンをはずしながら、あわてて玄関へと向かった。








「ねぇ、快斗。実は24日なんだけど・・・」

言いにくそうにしている青子を見て、快斗はわかってるぜ、といったかんじでにやりと笑って言った。

「ソレ、俺から警部へのクリスマスプレゼント」
「へ?」
「クリスマスは、本来はファミリーデーなんだぜ。たまには親子でゆっくりしろよ」
「でも・・・」
「その代わり、警部 年末年始は大忙しだぜ〜。あ、お前も24日の夜は空けとけよ。俺の方は、夜でも間に合うからさ」
「・・・ありがとう、快斗っ」
「わ、ばかっ、こんなとこで・・・」

嬉しさのあまり、何も考えずに抱きついたものの、そこは通学途中の生徒であふれる通学路。
2人は、あとでクラスメートからさんざんからかわれることになるのだけれど、このときは知る由もない。



こんなことしてるから、YAIBAの最終巻でウワサになるのです、きっと。


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