「・・・うん」
長い間、青子は考え込んだ後、戸惑いがちに頷いた。
「快斗のことぜんぶしりたい。だって」
青子はそこで一旦口を閉じ、じつと俺を見つめた。
青子が何を言おうとしているのか、わかっていたけれど、それは俺が欲しい言葉だから。
青子の口から、青子の声で聞きたい言葉だったから、俺は黙って青子を見つめたまま、次の言葉を待った。
どれくらい見詰め合っていただろう。
青子は、すう、と大きく息を呑んで瞳を閉じた。
「すき、だから」
ふたたび開かれた瞳は、唇から零れた言葉は、今にも泣き出しそうな色を帯びていたけれど、視線は、気持ちは逸らされることなくまっすぐ俺に向かっていた。
何か言わなくては、と思ったけれど、気持ちを言葉にすることが出来なくて、あふれた気持ちの行き場を求め、青子の腕を掴んで引き寄せ、きつく抱きしめた。