「たこ焼き、たこ焼き食べたい!」
「この時間にそんなに食うと太るぞ」
「じゃあ、お好み焼きでもいいよ」
「さらにヘビーだろが!」

俺のせっかく忠告してやったというのに、青子はとにかく粉ものが食べたかったようで、それでもさんざん迷った挙句に、たこ焼きを買って俺と半分こすることになった。
参道には、まだまだ人も多く、迷惑にならないように露店の裏側にまわる。
少し離れたところにベンチが見えたので、そこまで移動して、たこ焼きを食べることにした。

たこ焼きを食べながら、露店が立ち並ぶ参道を見れば、闇に明るく浮かび、薄暗いこちら側とは別の世界のようだった。

半分こね!と言っていたくせに、青子はもりもりとたこ焼きを片付けていく。

「青子、ソースついてる」
「へ?」
「ほんっと、お子様だよな」

親指で口元のソースをぬぐってやると、青子は恥ずかしそうに、少し頬を赤らめた。

「あ、ありがと」

そう言うと、青子はたこ焼きを食べる手をとめ、じっと俺の方をみつめた。

「なんだ、何か俺の顔についてるか?」
「ううん、ただ・・・」
「ただ?」
「快斗、目がいいなぁと思って。青子、快斗の顔にソースついてたって見えないよ」

もともと目はよかったけれど、キッドを始めてからというもの、ずいぶんと夜目がきくようになっていた。
まずいかな、と思ったけれど、ここはさりげに流しておくことにした。


「おう、俺の目は両目ともバッチリ1.5だぜ」
「青子もそうなんだけど・・・」
「くだんねー事気にしてるヒマあんなら、さっさと食わねーと冷めちまうぜ。いらねーなら、俺にくれよ」
「あ、だめだめ、青子まだ食べたいもん」

青子は残ったたこ焼きをあわてて頬張った。

 


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