お菓子買ってあげるからちょっと付き合って、と。
バカにすんなよ、と笑って出かけた帰り道。
「よくこうやって歩いたよね、学校の帰り」
「おう」
蘭はいつもリフティングしながら歩く俺の少し後ろにいて。
はじめは同じくらいだった、土手に向かって伸びる並んだ影の長さ。
少しづつ、少しづつ開いていったその差は、いつの間にか俺の中に生まれはじめた気持ちと比例して少しづつ大きくなっていった。
そして一気に開いてしまったその差は、やっぱり蘭への気持ちと比例していて。
「わたし新一がだーい好き」
小さくなってしまったあの日に聞いた、蘭からの告白。
自分は蘭の事がスキだ、とずっと思っていたけれども蘭の気持ちは全然分かっていなかったから。
それは自分自身の蘭への気持ちがよりはっきりと形になった瞬間でもあった。
こんなことになっちまったから知るなんて、な――
影を見つめて感傷的になっていた自分に思わず苦笑が漏れる。
ふいに体が宙へと持ち上げられる感覚。
「うわっ、蘭、何を・・・」
「ね、こうすればいっしょだよ?」
「蘭・・・・・・」
並んだ影の長さは同じ。
そして、ひとつ。
「オメー・・・元に戻ったら覚えとけよ」
「ふふ、楽しみに、してるから」
今の俺に対して、はっきりと言葉にすることはしないけれど。
いつもちょっとした言葉や態度で気持ちを示してくれる蘭。
元の姿を取り戻したら一番に彼女に伝える言葉は何にしようかと考えて、さらに紅くなった顔を見られたくなかったから。
俺はそのまま大人しく蘭の肩に顎を預けた。
200/10/05 江戸川コナンの日
5月の時はコ←歩で書くつもりのお題でした。普段なら正体知ってる設定は書かないのですが某所に影響されてこんな風になりました(苦笑)