本日は晴天ナリ



次の島へのログがたまるまで、1週間。

ウェイバーに望遠鏡を積み込んで、目指すはこの島で一番高い山のてっぺん。
空のまん中、雲の上。
きらきらぴかぴか、夜空一面に星をばらまいたみたい。
夏島にもかかわらず、6等星までくっきりはっきり見えるのは、空気が下より少し薄いから?





それは、今朝のこと。
みかんの手入れをしていた私の所へルフィがやってきた。

「・・・みかんはあげないわよ」
「えー、ケチだなー!って、そーじゃなくってなぁ、ナミ。ちょっと頼みがあるんだ」
「なに?事と次第によっちゃあ、高いわよ?」

にやりと笑いながら、親指と人差し指でわっかを作ると、ルフィは、「金なんて持ってねーんだよなぁ」なんて言いながら、きししと笑う。

「で、なんなの?」
「もう一回月のでこぼこが見てぇんだけど」
「あんた・・・」

望遠鏡で切り取った小さな月よりも、と。
自らそう言ったのは一体何日前のことだったのだろうか。

盛大なため息といっしょにルフィに訴えてみたけれど、案の定、オレそんな事言ったっけ?とさらりと流され、結局、夜の天体観測に付き合う事になってしまったのだ。





月を待つ間、ルフィは、はじめのうちこそ飽くことなくレンズをのぞきこんでいたけれど、そのうちに、望遠鏡をぐるぐるといろんな方向に向けはじめた。
そして、ぴたりと一箇所でとまったかと思うと、望遠鏡と夜空をかわるがわる見て首をひねっている。


「なぁ、ナミー。あそこの、もにゃもにょの、なんだ?」
「ああ、あれは星雲。望遠鏡でのぞいたって見えないわよ」
「雲じゃねーのか?」
「ええ。ほら、じっとみつめるんじゃなくて、少し横の辺りを見るの」

視線をルフィの指差す方に向けると、そこには、懐に星を抱いてぼんやり広がる大きな星雲が見える。
ふと視線を感じて振り向くと、ルフィが私の顔をじっと見つめていた。

「・・・なによ」
「ナミみてーだな、見つめちゃダメだなんて」
「バカね」

そう言って額をぴん、とはじくと、ルフィは、きしし、と笑って視線を空へと向けた。
その横顔はやっぱりコドモみたいで。

東の空からは、ゆっくりと月が昇り始めていた。



14.天体、のちょっと続き、かな?


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