手紙
それは米花公園からの帰り道。
園子と別れた後、蘭と俺はまっすぐ家へは向かわず、スーパーへと向かっていた。
昨日は事件に巻き込まれてしまって時間がなかったから、今日こそ美味しいもの作ってあげるね、と蘭はなにやら張り切っていた。
「でもビックリしたよ。園子はとにかく、コナン君までいるなんて」
「ごめんね、でも、ちょっと気になっちゃって」
えへへ、と子供の笑いを貼り付け誤魔化す俺を、もう、と少し怒ったような口調でたしなめた蘭だったけれど、怒っていないであろう事は見上げた横顔を見れば明白だった。
「ね、コナン君はラブレターもらったことないの?」
「へ?なななな、ないよ、そんなの。いやだな、蘭ねーちゃん・・・」
「そぉーお?コナン君、かっこいいのにな」
「へ!?」
興味津々、と言った風で尋ねてきた蘭の思いもかけぬ言葉に、演技なんかではなく取り乱してしまって。
少し赤くなっているかもしれない顔を見られたくなかったけれど、視線を蘭から外すことが出来なかった。
「ほんとだよ。きっと、もっと大きくなったらモテモテになるから!私が保証してあげる」
自分のことのように、うれしそうに話す蘭。
俺がモテモテでオメーいいのかよ、なんて勝手な事を思い、複雑な気持ちになったけれど、かっこいいと言われた事に関しては素直に嬉しかった。
「ねぇ、コナン君」
「なぁに?蘭ねーちゃん」
探偵事務所の看板が見えるあたりまできたところで、蘭は今度はちょっと神妙な顔つきになり、探るような口調で、また思いもかけない質問を投げかけてきた。
「もしかして手紙のこと、新一に話した?」
「へ?話してないよ。でも、なんで」
「ううん、ちょっと」
「ちょっと?」
最初は話す気なんてなさそうだったけれど、重ねて聞かれ、蘭は少し恥ずかしそうに俯いて、囁くような声で俺に告げた。
「ひょっとしてね、手紙のこと気になって、コナン君に様子見てこいって言ったのかな、なんて」
「蘭ねーちゃん・・・」
「そんなわけないよねー、ごめんね、コナン君」
あははー、とちょっと恥ずかしそうに笑って。
蘭は勢いよく事務所へと続く階段を駆け上がっていった。
2006/01/18
なんてことはない、後日譚