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ちょっと長めのキスの後。

いつもならゆでダコみたいな顔のまま、なかなか目をあけない青子が、ぱかっと目をあけた。
どういう風の吹き回しかと瞳を覗き込めば、すぐにうつむいてしまう。
いつもと違うその態度から、何か言いたいことがあるんだろうなとは思ったけれど、しばらくなにも言わず抱きしめていたら、がばっと顔を上げ、キスの後よりさらに頬を赤くして、ようやく切り出した。

「ね、ねぇ」
「ん?」
「か、快斗はキスするとき、いっつも目を開けてるの?」

さて、なにを言い出すのやらと思えば。
俺にとってみれば、返答は軽く一言で済んでしまうようなことだけれども、青子の百面相が見たくて、ついついからかってしまう。

「やーらしーなー、青子ちゃん。薄目あけて覗き見してたんだ?」
「ちっ、ちがうもん!のぞいてなんかないもん!ただちょっと気になって・・・」

恥かしそうにこっちを睨む青子がかわいかったので、やっぱりもっといじわるしたくなる。

「・・・あけてる」
「そ、そうなんだ」
「バッチリシッカリパッチリと」
「そんなに!」
「うん、キスしてるときの青子の顔、蕩けそーでかわいいから、見てる」
「そっか・・・」

たぶん、バッチリシッカリパッチリに気をとられて、俺の後の言葉の方はあんまり聞いていなかったんだろう。
納得しかかっていた青子は、すぐに「ん?」と思案顔になり、そのまましばらく固まって――みるみるゆでダコに戻っていった。

「なっ、なによソレ!快斗のえっちー!!」
「いーじゃん、減るもんじゃないし」
「ヤダヤダ、そんなの見ないでよ」
「だったら、青子も目ぇ閉じるなよ。それでおあいこだろ」

言いながら、青子の頬へと指を伸ばす。
いつもより長いキスの間、青子はやっぱり目を閉じたままだった。

2004/12/12


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