未完成



「よーし、それじゃあ本を買ったら入り口のところでな」
「オーッ!!」

元太の言葉に元気よく掛け声をかけた少年探偵団一行は、隣町の比較的大きな書店へ向かっていた。

今日は、また一段と元気イイよなぁ・・・。

当然のごとく俺と灰原は放課後の探偵ごっこにつき合わされている。
俺はついて行く気はなかったのだけれど、灰原が自分の本を探すからといっしょに行くことにしたので、シブシブいっしょにつき合わされることになってしまった。
なんだかんだ言いつつ、灰原はコイツらにつきあうんだよな。
まあ、俺も人のことは言えないんだけど・・・。

今日の依頼は、今日発売のマンガを買って届けることだった。
小さな本屋ではおいてないらしく、頼んだ奴は習い事で買いにいけないんだと。
オイオイ、それ探偵団の仕事か?という俺のツッコミは、すでにキレイに無視されてる。
なんかだんだん便利屋のようになって来てるような気がしないでもないが、みんなは細かいことは気にしちゃいないみたいだ。






「君たち、帝丹高校って、どっちにいけばいいのかな?」

声をかけてきたのは、ちょっと派手なかんじのお姉さん。
大きな目が印象的で、派手といっても下品な感じがしない。
フワフワくるくるで、ちょっと茶色い髪の毛。
まるくておっきい胸を強調するように、胸元が大きく開いて、からだにぴったりする生地のTシャツを着てる。
高校生、かなぁ?

「ああ、それなら・・・」

コナン君が説明してるんだけど。コナン君、なんだか顔赤いよ?

「・・・ねぇ、哀ちゃん。コナン君って、やっぱり美人で年上の人が好きなのかな?」
「え?」
「ほ、ほら。蘭お姉さんも美人だし。今も顔赤くしてるし・・・」
「フフ、あなたはタイプで言うと美人というよりかわいらしい方ですものね。気になる?」
「うん、まあ・・・」

哀ちゃんとそんな話をしている間に、お姉さんはいなくなっていて、コナン君は元太君と光彦君につかまっていた。

「よー、コナン。オメエなんか顔赤いぜ?」
「以前から思っていたんですがコナン君は年上の女性がお好きですよね」
「な、なにいってんだよオメーら」
「だって、今も道を尋ねられた女性に頬を赤らめてましたし、先日のケイタイに送られてきたビキニの女性の写真。あれ消したの不満そうでしたよね?」
「だ、ちがっ。アレはイタズラメールだし、今の人は、その胸が・・・」

「胸?」

二人そろって顔を見合せた後、納得したのかニヤニヤ笑いながらコナン君の首根っこ捕まえてる。
往来の真ん中だというのに大きな声で騒いでいるので、3人の話は少し離れたところにたっていても聞こえてきていた。

「コナン、オメー、巨乳好きか〜」
「コナン君もすみに置けませんね〜」
「ああ・・・もう何とでも言ってくれよ」






「・・・ですって」
「そっか、コナン君、胸のおっきい子が好きなんだ。でも、それならなおさら歩美じゃダメだよ」

だって、あるかないかわかんないくらいなんだもん。
そう言って胸のあたりを押さえながらしょんぼりしてる彼女はとってもかわいらしくて。
私らしくないかしら、と思いつつフォローしてしまう。

「そんなにしょげることないわ。だって、あなたはこれからじゃない?それに、いまからそんなに大きかったら大変よ」
「そう・・・そうだよねっ!」
さっきまであんなにしょげていたのに。
彼女は元気にそう言うとまだ騒いでいる3人の所へ走って行ってしまった。

「ね、コナン君、歩美はこれからだから!だから待っててねっ!!」
「へ?」

ニコニコ笑う彼女とさっぱりわかってない彼。
フフ、どっちにしても前途多難ね。



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