生意気
今日は、蘭が部活で遅くなったので、必然的に夕飯も遅めになった。
待ちきれなかったおっちゃんは食事前に晩酌をはじめ、料理が出来上がる頃には、自分自身がすっかり出来上がってしまっていた。
酒臭いおっちゃんに絡まれるのを避けるため、台所へと急ぐ。
こういう時のおっちゃんは、非常にしつこいし、人づかいが荒い。
さわらぬ酔っ払いになんとやら、である。
「蘭ねーちゃん、僕それ持っていくよ」
「ありがとう、コナン君。いつも手伝ってくれて、ほーんとどっかの誰かさんとは大違い」
お盆を持ったままジロリとにらむ先には、赤ら顔の迷探偵。
当の本人は、そんな鋭い視線に気づくことなく、蘭ちゃ〜ん、とか言いながら、空になったビール缶を目の高さでふっている。
「わたし、将来結婚するならコナン君みたいな旦那さんにしよっと♪ねー、コナン君」
「え、あ・・・」
「バーロぉ、オメー今っからそんな生意気なガキだぞ。将来どうなるか・・・苦労するのはお前だぞ、蘭」
蘭が食卓にちゃっちゃと食器を並べながら言ったなんでもない一言。
俺が返事をする間もなく鋭いツッコミがはいった。
生意気で悪かったな、くそ。
「ちょっと、お父さん。誰もコナン君と結婚するなんて言ってないでしょ!もう!酔っ払っちゃって・・・」
「私、コナン君と結婚するの」なんて言われても、元に戻った時に困るのだけれど。
こうはっきり結婚しないとか言われるとなんか複雑だよな・・・。
「ダメだダメだダメだ、結婚はゆるさーん!」
「おっちゃん、蘭ねーちゃんには、新一にーちゃんが・・・」
「あの探偵坊主もダーメーだー!!それこそもっての他だーっっ!!」
「お父さん!」
「ハハハ・・・」
さり気に入れたフォローも全否定。
・・・どっちにしてもだめかよ。
2004/11/26